| 食を考える | ||||
| 農林水産省改革チームが11月27日に発表した「農林水産省改革のための緊急提言」等の学習会を、全農林労組大阪分会湯川委員長を報告者に、また汚染米問題等を厳しく追及してこられた生産者・消費者等の方にも参加をお願いして、現役・OBなど20数名の参加で1月17日(土)に開催しました。 この学習会は、「BSE問題に続いて事故米問題を発生させた農林水産省の抱える根本的な問題点を洗い出し、それを払拭することが農林水産省改革チームの使命」だとして、「国民視点に立った政策・業務の実行の追求」や「リスク管理・危機管理の改革」、「業務内容の改革」、「従来の慣行にとらわれない国民視点での組織運営の実現」等を打ち出すとともに、「国民視点に立った行政を円滑に遂行するための機構改革」と称して、「米麦の国家備蓄や国家貿易については、組織が不適切であることのみをもって廃止する訳にはいかない。」と言いながら、「地方農政事務所は、原則廃止が相当である。」などを内容とする「緊急提言」が、本当に国民視点にたった提言なのか、国民のためになるのかなどについて、しっかり検証する必要があるとの認識のもと、OBを含む農林水産省関係者だけでなく、生産者、消費者、学識経験者の方からも率直な意見等を聞かせていただく機会として開催したもので、有意義なものとなりました。 学習会では、冒頭、会を代表して長野代表世話人が、「食の安全や安心が危機的な状況にあり、暮らしも環境も経済も政治も末期的な状況にある。こういう状況を打破するため、今年を変革の第一歩と位 置づけお互いに頑張っていきたい。特に憲法に保障されている国民の生活と権利を守る、そのために公務が果 たすべき役割、また公務でなければ果たせない役割をもう一度お互いに考える必要がある」と挨拶しました。 その後、大阪分会委員長の湯川喜朗さんから、「『事故米問題』の検証はまだ終わっていない! 農政事務所の廃止で幕引きにはできない」とする、事故米問題を特集した、できたてホヤホヤの「おおさか分会調査時報」をもとに、この間の事故米問題の現場での取り組み状況や緊急提言の問題等について、報告がありました。湯川さんは、今回の「事故米」の90%がMA米(ミニマムアクセス米)で、「事故米」の真の原因がMA米にあることや、MA米が日本の農業・食料政策政策を歪めるとともに食のリスクを高めてきたと指摘。ウルグァイ・ラウンド農業交渉の農水省の交渉責任者であった塩飽審議官(当時)の「私は、あのときの閣議了解と義務輸入が尾を引いて、今日の「汚染米」事件が起こったのではないか、と思っている。」との農民連機関誌「農民」の記事を紹介するとともに、輸入米の輸送実態や検査の限界にも言及しました。また、農水省「事故米対策本部」が10月31日に公表した「中間総括」にふれ、事故米問題の検証はまだ終わっていないと強調。事故米の残留農薬は、輸入時には問題なかったものが、その後の残留農薬基準の改正により基準を上回ることとなり事故品扱いになったこと、大阪では事故米は出ていないにもかかわらず 三笠フーズの本社が大阪にあったことから、異常なマスコミ対応を迫られたことなどが具体的に報告されました。 「緊急提言」については、規制緩和、構造改革路線をより一層進めるために出されたもので、今回の提言は事故米問題とは直接的には関係ないと指摘。農林水産大臣は緊急提言に基づく見直しについて外部からの意見を聞くと言っているので、農政の根本的転換をめざし、運動をより強くしていくと決意が表明されました。 また、農民組合京都府連合会書記長の上原実さん、新日本婦人の会上京支部長の吉岡さん、元京都府農業会議事務局長(立命館大学講師、渡辺地域経営研究所代表等)の渡辺信夫さんからは、それぞれの立場から見た緊急提言への率直な意見や感想等を話していただきました。 話された感想・意見等の概要は、 ◎ MA米が、日本の農業を危機に陥れている元凶だ。 ◎ 減反を進める一方で、今やコメも、単年度給ではマイナスになっている。安全かどうか分からない外国のコメにたよるということの愚かさ、国内で作れる能力があるのに作れないということへの批判が国民の中で大きく広がっている。 ◎ 改革が必要だ、国民視点だ、消費者の視点だ、という言葉がいたるところで出てくるが、汚染米は終わったわけではない。それ以降に輸入されたMA米で、十分な検査ができないがために汚染されたコメが既に七万トンも国民の口に入っている。現実に起きている問題をどうするのか、MA米をどうするのかに向き合わずして、字面 にいくら書いても絵に描いた餅ではないか。 ◎ 反省の結論から都合のいい仕組みづくり、組織作りを意図しているのではないか、との危惧をもつ。 ◎ なぜ汚染米は輸入されたのか、悪徳業者はなぜはびこるのか。 ◎ 提言では、国民の方に目を向けてやらねばならないと再三出てくるが、現場はどういう状況になっているのか、働いている人が上の人に意見が言えているのか、上の人と意見が一致しているのか。 ◎ 食の安全をまもり、温暖化を防止するためにも、食料の自給率を上げていくことが必要ではないか。 ◎08年度の最も怖い事件の第一番目が中国冷凍餃子事件、最も腹立たしい事件の第一位 が汚染米事件といわれている。この裏返しが公務員批判、官僚批判。一番だらしない役所は、厚生労働省と農林省ともいわれている。 ◎ 国民の中で食や命や健康に対する不安が、我々の予測を超えて深刻に広がっているのではないか。そこをきちんと押さえておくことが必要。 ◎ 戦後の農地改革を除いて、BSEと汚染米問題が決定的な節目になったのではないか。汚染米問題は国民の主食を巡る問題だけにBSEよりも持つ意味が大きいと受け止められていると思っている。 ◎ 資本主義は市場の失敗と公共の失敗をくり返す。汚染米事件はこの市場の失敗と公共の失敗を同時に起こした。こういう事件は他に例がない。主食のコメを市場に委ねたらどうなるか。汚染米事件は起こるべくして起こった。予測されていたこと。 ◎ 公共の失敗が露呈したものが今回の事件。農林水産省の官僚機構が破綻した事例。 ◎ 公共の失敗をくり返さない最大の鍵は、「公務労働論」「公務労働運動」が健全であるか否か、仕事に責任を負う本当に住民のために国民のために労働するという「民主的公務労働論」「民主的公務労働運動」がなければ農林水産省の再生はない。 ◎ 機構改革をやるのであれば、農林水産省の担当する公共行政とは何かいう枠組みをきちんと作ることと、その公共行政に国が責任を負うものと自治体が責任を負うものとの再整理が必要。ここの整理もせずに取りあえず農政事務所を廃止して農政局は難を逃れようとするような姑息な機構いじりをしていては農林水産省に展望はない。などでした。
国民本位の行政をめざす農林・京都の会 第32号より |
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| 2008年は、中国ギョウザ事件、MA米の汚染米流通
事件、さらには食品の偽装問題などなど、「食の安全・安心」が危機的状況にあることに警鐘を鳴らした一年でした。 いま、世界の「食糧危機」が取沙汰されている中で、世界最低の食料自給率・世界最大の食料輸入国・日本で私たちの未来はあるのでしょうか? この一年余りの間に、農林水産大臣が五人も替わる農林水産行政は何なのでしょうか! それは、自公政権の農林水産業政策の破綻を示しています。 国内では減反を強行しながら、なぜMA米の輸入が必要なのか? 米の流通に誰が責任を持つのか? MA 米の輸入が汚染米不正規流通の根源であるにもかかわらず、そこへの切込みを避け、地方農政事務所に責任をなすりつけて、汚染米問題を契機として農林水産省の人べらし・組織改変という攻撃がしかけられています。 いま、暮らしも環境も経済も政治も「危篤状態」です。 この様な状況を切り開く道は、自公政権のアメリカ言いなり、財界・大企業言いなりの政策を変革する以外にありません。 小泉政権の「郵政選挙」での衆議院多数に胡座をかいて、その後の参議院選挙の結果 も無視して強引に進められてきた自公政権による弱肉強食の市場原理主義による「構造改革」「規制緩和」、小さな政府論・自己責任論による「民営化」、弱者切り捨て、国民生活破壊の流れは、国民の反撃によりいま大きく変わろうとしています。 社会保障・雇用・農業等、国民生活に関わる国の主要な政策、後期高齢者医療制度、労働者派遣制度等の見直しが避けられないところまで追い込み、経済政策の根本的な見直しも叫ばれ出しています。また、米の生産調整制度もその廃止を含めて見直しを表明せざるを得なくなっています。 こうした状況になっている下で、小さな政府・公務員削減だけが一人歩きしてよいわけはありません。 憲法に保障された国民の生活と権利を守るために、公務が果たすべき役割、公務でなければ果 たせない役割も、もう一度見直されてきています。 今こそ公務員労働者が国民の中に入って大いに議論し、一致点での共同を進める時ではないでしょうか。 農と食の面では、食糧主権の確立、食料自給率の向上によって、農と食の再生をはかる第一歩の年にしたいものです。 国民本位の行政をめざす農林・京都の会 第31号 |
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| 政府が加工食品原材料用として販売したMA米からカビ毒検出! ◆◆国民の安全・安心のためには、MA米の輸入中止以外にない◆◆ 農水省は12月19日に、「政府が加工食品メーカーに原材料用として販売したタイ産米の一部からカビ状の異物が発見され、分析したところカビ毒(アフラトキシンB10.04ppm)が検出されました。」と発表しました。 マスコミは事故米不正規流通の時ほどの取り上げ方をしていませんが、不正規流通 より重大な問題を示しているのではないでしょうか。 輸入時の検査では発見できなかった。 問題の米は今年六月に輸入したもので、輸入時の検査では検出できず、わずか四ヶ月後の10月22日に加工食品メーカーに販売されてから発見されたということです。これは、現在の検査システムでは「汚染米は絶対に輸入させない」と言えないことを明らかにしています。そして、「運良く」メーカーで発見され、メーカーが「良識」をもって農水省に連絡したから検出できたのです。 政府・農水省が汚染米を食品用に販売した 今回は、政府・農水省が(故意ではないとしても)汚染米を食品原材料用として販売したことは、厳然たる事実です。 農水省は、「(カビ毒が検出されたMA米と)同一船で輸入された他のタイ産うるち砕精米(政府在庫分・出荷済み分)からは検出されなかった。」としていますが、これも「絶対」とは言えないものでしょう。 これで事故米不正規流通問題で頂点に達した国民の「食の安全」に対する不信、政府・農水省に対する不信を払拭することができるでしょうか。 10月以降でもカビ状異物混入が26件確認 今回のカビ毒が検出された米以外でも、MA米に「カビ状の異物の混入を確認した」ものが、今年の10月以降だけでも26件(12月19日発表現在)あり、そのうち12件は販売先で発見されています。また、農水省寄託倉庫で出庫作業中に発見されたものが8件、政府委託で変形加工を行っていた工場で発見されたものが6件となっています。 こうしてカビ状の異物が発見された米は、現在厚労省登録検査機関で分析・鑑別 が行われていますから、カビ毒が検出されることもあり得ます。同一船で輸入され政府が保有している米は移動が凍結されているようですが、すでに販売され加工されたものの中には、国民の口に入っているものもあるでしょう。 また、発見されないまま販売され、加工されて国民の口に入ってしまっているものがあり得るし、今後もあり得るでしょう。今まで健康被害の報告が無いのは、「結果 オーライ」に過ぎません。 これは全量検査ではなく、抽出検査である限り避けることはできません。 検査態勢を強化し、抽出量を多くしても解決できるものではありません。全量 検査が不可能なことも明らかです。 MA米の輸入を中止が、国民の「食の安全」を安心をとりもどす第一歩 今回のことからも明らかなように、国内の生産を抑制しながら、必要のない外国産米を「義務」だとして無理やり輸入し、無理やり販売しているところに根本的な原因があります。 MA米の輸入を中止することこそ、国民の「食の安全」を保障し安心をとりもどす第一歩です。 WTO体制は、食糧危機・飢餓を救えない また、WTOドーハ・ラウンドは、閣僚会合を開くことも出来ず、年内合意を断念しました。しかし、アメリカ等やWTO事務局は、一層の市場開放を求めています。今日の世界的な食糧危機・飢餓の状況は、自由貿易主義・WTO体制ではなく、「食糧主権=各国が、食糧を輸出のためではなく、自国民のための生産を優先し、輸入規制や価格保障などの食糧・農業政策を、自主的に決定する権利」を尊重する、新たな貿易ルールの確立が求められています。 国民本位の行政をめざす農林・京都の会 第30号 |
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汚染米不正流通
・使用問題を業務・組織の問題で済ませてはならない! 最大の問題は、不要なMA米の「義務」輸入 流通ルート解明終えた!? 10月31日農水大臣は、今回の事故米不正規流通問題について、「流通ルートについて解明できるものはすべて解明を終えた」として、今後は1.米流通 システムの見直し、2.農林水産省の業務・組織の見直しを進めると表明しました。 中間的総括とはしていますが、今回の汚染米不正流通・使用問題の原因はどこまで明らかになったのでしょうか。 汚染米問題の本質は明らかになっていない! 少なくとも、MA米の「義務」輸入が始まるまでは、事故米の売却はあっても、汚染米(事故米穀)の売却はなかったのです。そして、MA米の輸入が始まり汚染米の管理・監督が必要になるのに逆行して、米流通 業者の規制が緩和され、農水省の担当職員は削減されていったのです。 このことの明確な反省・総括なしに、農水省の業務・組織の見直しを行っても、国民の農水省に対する信頼を取り戻すことはできないでしょう。 業務・組織の見直しで、国民の信頼は戻らない! 業務・組織の見直しを検討するため、省内課長クラスを中心に改革チームがつくられ、「業務内容の改革のあり方」や「職員の意識改革と資質向上のための徹底的な対策のあり方」等七つの検討課題を掲げ、「多様な国民各層から見て、丁寧・誠実・親切な対応ができているか」等四つの視点で検討を行うとしています。 改革チームのメンバーがどのような基準で選考されたのか明らかではありません。改革チームの会合の概要はHPに掲載され、職員の意見を汲み上げる一つとして、WEB職員掲示板に意見の募集をしていますが、意見や質問に対して改革チームからの回答等はないようです。また、無記名投稿が認められているようですが、投稿者の秘密が守られる保障はありません。「掲示板が最近2チャンネル化してきている」というのも、当然かもしれません。 大臣や官僚のためでなく、国民のための改革を! いずれにしても、大臣の点数稼ぎや官僚の保身のための「改革」ではなく、国民の農水省に対する信頼をとりもどし、国民食料の安全・安心に責任を持つ農水省に改革するものでなければなりません。そのためには、今回の事故米問題の本質であるMA米とそ「義務」輸入に固執したことを反省し、改めることが、出発点ではないでしょうか。 そして、事故米問題だけでなく、農業政策とそのあり方を含めて、職場から議論を起こし、全職員の英知を集めることに真摯に取り組むことではないでしょうか。 しかし、農水省は11月7日MA米の入札を再開しました(結果は落札ゼロだったようですが)。国民の米に対する安心よりも、財界やアメリカの要求を優先するということでしょう。これでどうして「国民目線に基づいた行政」と言えるのでしょうか。 国民の中に足を踏み出し、大いに議論を! 麻生首相が、点数稼ぎ・票目当てに「定額減税」に続いて「地方農政局の廃止」を打ち出した今、農水省の職員は国民の中に足を踏み出し、安全な国民食料の供給に国が責任を負い、国民の食に対する安心を取り戻すために、農政のあるべき姿、農水省の役割・地方農政局の役割を大いに議論することが、緊急に求められているのではないでしょうか。 国民本位の行政をめざす農林・京都の会 28号より |
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| 「事故米」不正転売事件!! 食の安全・安心より「構造改革」優先の規制緩和・「組織改編」定員削減等と不必要なMA米輸入が作った不正の土壌 事故米は二八都道府県、約四〇〇社に流通全容いまだ分からず 基準値を超える残留農薬やカビ毒に汚染されたMA(ミニマム・アクセス)米等を、国(農水省)は事故米として工業用に用途を限定して民間業者に販売していますが、買い付けた「三笠フーズ」等数社の業者が食用として不正に転売・利用し、それが焼酎や和菓子、米菓などの原料として使用されていたほか、学校や高齢者福祉施設などの給食業者等にも流れていたなど、九月五日に発覚して以降その流通 範囲が日を追って拡大して二八都道府県、約四〇〇社(九月末現在)に及び、大きな社会問題になっています。 不正転売して暴利をむさぼっていた業者の行為は、国民の食に対する信頼を覆すという点でもあるまじき行為であり、批難されすぎることはありません。 国民感情理解しない大臣と事務次官が辞任 そして、国民からすれば、なぜ事故米が食用として流通したのか、事前に食用として流通 しない対策は万全であったのか、国がMA米を売却し、工業用に販売・利用されているか「立入検査」したにもかかわらず、検査の事前通 知やなぜ帳簿の改ざんが見抜けなかったのか等、疑問をあげればキリがないところでしょう。農水大臣や事務次官は国民感情を理解しない発言で辞任に追い込まれました。 国内で米生産調整しながら毎年七七万トンものMA米を輸入 MA米を巡っては、ガット・ウルグァイラウンド農業合意により、現在、毎年七七万トンものMA米が輸入されていますが、国内では米の生産調整を行っていることから、主食用米に影響を与えないとした閣議決定が行われています。このため、MA米は国が一元的に輸入し、一部主食用とされていますが、ほとんどが加工用や海外援助用として活用されています。 食糧法の目的は、米を国民に安定して供給することが第一 米に関する国の基本的な位置づけは、主食ということから、食糧法により「米穀の生産者から消費者までの適正かつ円滑な流通 を確保するための措置並びに政府による主要食糧の買入れ、輸入及び売渡しの措置を総合的に講ずることにより、主要食糧の需給及び価格の安定を図り、もって国民生活と国民経済の安定に資することを目的」とされ、米を国民に安定して供給することが第一となっています。 このため、今回の事故米も不正の告発を受けたものの、食糧法に基づいた対応の延長で実施したことが混乱となった部分もあるのではないでしょうか。 特に、食糧庁・食糧事務所の解体以降、人員が大幅に削減される中で、食糧部門は管理と指導のみに特化され、また、消費・安全部門との分離が厳しく整理され、同じ建物にいながら人をはじめ業務を融通 できない体制になっていました。 「立入検査」ではなく「立合調査」 十分でなかった監視体制 また、事故米は早期売却が求められており、購入した業者が横流ししないよう砕米等にさせることを担保にし、その数量 等の一致等を確認するための「立会調査」を行いますが、十分な監視体制でなかったのも事実です。 一日も早く国民の食に対する信頼、「安心」を取り戻すことが必要 ・MAの事故米も、例え工業用に用途を限定していても、国内で処理すれば国際公約の七七万トンの内数となる。 ・米の保管には多額の国費(トン当約一万円/年)を要しており、米を販売し在庫を減らして経費節減する必要がある。 ・MA米以外の国産の備蓄米に対しても保管等経費を節減するよう財務から厳しく指摘されている。 ・表示偽装をした企業は倒産など壊滅的なダメージを受けることが理解され、主食に転売するような行為は行われないのではないか。 ・残留農薬の基準は、人体にすぐに影響する数字でない。 ・制度において契約行為とし、契約により違反行為を罰するようにしている。 ・立会調査は、購入者が工業用に仕向ける時に確認するように整理している。 ・米流通の世界では、転売を繰り返している米も多く、このような案件を解明するには時間を要する。このような意識があったかどうかは定かではありませんが、結果 として、農水省の対応が食の安全・安心を強く求める国民の意識とは大きくかけ離れた対応であったことを真摯に受けとめ、早急な原因解明と再発防止に向けた万全の対策を講じ、一日も早く国民の食に対する信頼、「安心」を取り戻すことが必要です。 米表示の厳格化と流通体制の抜本的改革が必要 米は、玄米から精米にし、ぬかも含めて多様な用途で販売されています。一般 の主食でも、国民は表示以外に信用するものはなく、白米の一粒一粒が例えばコシヒカリであるかどうかはわからないものであり、さらにごはんや加工されれば表示義務も無く、まったくわからないものとなります。今のままでは、販売する者を信用するしかないのが現状ですが、米の流通 においては、もともと複数の業者が仲介するケースが多く、仲介ごとに利ざやを稼ぐことから、産地や品種など不正をおこしやすい構図になっています。 今回の事故米も店頭精米であれば安すぎて表示偽装がすぐにばれますが、低価格を求めていた企業の商品に合致して、原料としておにぎりなどに使用されていました。米の表示の厳格化と流通 体制の抜本的な改革が必要となります。 国民の多くが、主食である米に対しては、特に安全なものを求めています。制度的な充実は当然必要ですが、そこにはマンパワーも必要になってきます。 「構造改革」路線では食の安全は守れない しかし、この間政府は、規制緩和と称して食糧法を改悪し、米穀販売業者を許可制から届出制にして、得体の知れない業者が参入することを可能にしました。農水省では、小泉構造改革でもある行政改革による職員の配置転換により大幅な定員削減が進行中であり、さらに、地方分権改革推進委員会で出先機関の廃止等が言われています。 このような規制緩和、市場原理万能、弱肉強食、人減らし「行政改革」などの「構造改革」路線では、国民の食の安全が守れないことを明確に示した事件ではないでしょうか。 必要のないMA米輸入はただちに中止を また、そもそも、国内で米の生産調整を行いながら、日本の年間消費量の八・四%に相当するMA米の輸入がなぜ必要なのでしょうか。必要が無いのにアメリカや財界の言いなりに輸入するから、安全は二の次に処分(売却)することが優先した結果 ではないのでしょうか。 行政改革や地方分権で農林水産省組織を縮小するのではなく、逆に充実した体制等を早急に実現すること、また、世界的な食糧不足のなかで「義務」でもないMA米の輸入をただちに中止し、国内農業の強化・自給率向上をはかること、そうしなければ、国民の食の安全は守れないということが明らかになった事件でもあったのではないでしょうか。 国民本位の行政をめざす農林・京都の会2008年10月号外( 第2号)より |
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| 不要なMA米の輸入はただちに中止を! 規制緩和をやめ米流通にルールを! 「汚染米」不正転売・利用事件で、国民の食の安全に対する不安は深刻! 「(汚染濃度は )健康には問題ない」では国民の信頼はもどらない! 汚染米はすべて輸入米! 9月5日に「事故米」の不正転売が発覚して以来、その流通範囲は拡大の一途をたどり、学校や幼稚園、高齢者福祉施設などの給食への使用など、国民には確認のできない、注意しても防ぎようのないところでの使用に、国民の食の安全に対する不 安は深刻になっています。また、転売を受けた焼酎や和菓子、米菓などの業者のなかには、廃業に追い込まれたところもあると言われています。 儲けんがために消費者の生命・健康への影響を無視し、伝票や帳簿まで偽造して、暴利をむさぼった「三笠フーズ」等の業者に最大の責任がありますが、併せて、「事故米」を売却し、監督責任のある農水省の責任も厳しく追及されています。 農水省に対する批判は、工業用に安価に売却した米が、価格の高い食用として転売し暴利をあげていたのを見つけられなかったという単純なものではありません。 殺虫剤「メタミドホス」や発ガン性の強いカビ毒「アフラトキシンB1」などに汚染され、食用にしてはならない米を工業用として売却しながら、その監視・監督が不十分であったことの責任、国民の食の安全に対する無責任さに対してです。 そして、今回明らかとなった不正転売・利用「事故米」の約八割がMA(ミニマムアクセス)米であり、メタミドホスなど危険物質に汚染された米はすべて輸入米であったということです。 農水省は先日、三笠フーズ等の業者から接待を受けていた職員が11人(計12人)いたとして、近々公務員倫理規定違反で処分すると発表しました。接待自体は許されることではありませんが、今回の問題は、基本的には職員個々の問題ではないのではないでしょうか。 義務ではなく、必要もないMA米輸入に固執した政府の責任 それは一つには、WTO(世界貿易機関)協定に基づく「義務」であるかのように説明して、輸入を続けているMA米です。国内では米の生産が過剰だとして「生産調整」させているわけですから、米が不足しているわけではない、輸入が必要なわけではないのです。 MAは「義務ではなく、一定量を輸入することを許すという意味」(WTOファルコナー農業交渉議長)であり、「輸入したい業者に、通 常の関税より低い関税で、輸入する機会を提供する枠」にすぎないものです。それを、アメリカの顔色を伺って何が何でも全量 (七七万トン/年)輸入にこだわる。そのために、汚染米でさえ輸入した可能性を否定できません。また、そのMA米を外国に輸出するには、アメリカの「同意」が必要だとも言われています。需要がほとんど無いMA米を強引に輸入し、保管にトン当たり年約一万円要することから、早急な処理を迫られた農水省は業者に買い取りを働きかけ、より需要のない「事故米」については入札業者をさがすのさえ大変だったと言われています。 そうしたなかで積極的に「事故米」を買い取る三笠フーズなどの業者に対する、十分な監視・監督を期待することはできないでしょう。 自給できる米を、財界やアメリカの要求にそって無理やりMA米を輸入してきた政府に責任があります。 「構造改革」「規制緩和」路線を進めた政府の責任! もう一つは、小泉「構造改革」「規制緩和」路線のもとで、食糧法を改悪して米穀流通 業者を許可制から届出制にし、得体の知れない儲け本意の業者が参入できるようにしたことです。その一方で、農政事務所の職員は削減され、業者の記帳の点検指導などの権限はなくなりました。そして必要がないのに輸入されたMA米の売却が重要な仕事の一つになり、事故米についても事実上廃棄が認められないような状況にあったと言われています。 「構造改革」と称して、国民の主食である米の流通の管理責任を放棄した政府に責任があります。今回の問題を、業界の責任や農政事務所の責任ですますことは許されません。 食への信頼は、MA米輸入中止と米流通のルール化から! そして穀物自給率・食料自給率の向上を! いくら「(汚染濃度は)健康に問題ない」「健康被害は報告されていない」と繰り返してみても、国民の不安は解消されません。 国民の食に対する不安をぬぐい去り、信頼を回復するには、汚染米の源であるMA米の輸入をただちに中止するとともに、規制緩和されて悪質業者の参入が可能になっている米の流通 に、政府の責任を明確にしたルールを確立することです。 9月18日、年間2800万トンと言われる輸入穀物の輸入が一時停止されたと言われています。世界的な食糧不足という点や環境問題からも、輸入米以上に事故米の発生しやすい輸入小麦を含め、主要穀物の国内生産を可能な限り高める、食料自給率を高める取り組みが緊急の課題です。 国民本位の行政をめざす農林・京都の会 第27号 より |
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| 6月29日、京都府農協会館において、 「地球温暖化と食糧危機を考えるシンポジウム」が開催、概要を報告。 このシンポジウムは、「農業・食糧問題から地球温暖化を考えよう」(司会者のまとめ)と京都食健連(農林業と食料健康を守る京都連絡会)と地球温暖化防止京都ネットワークが共催したもので、市民や農業者約100名が参加しました。 主催者を代表して京都食健連の岩橋京都総評議長が挨拶をしたあと、特定非営利活動法人気象ネットワーク代表で弁護士の浅岡美恵さんが「地球温暖化の実態と解決に向けた課題」と題して講演を行い、「温暖化問題の焦点は、気温の上昇を工業化の前から二℃ 未満に抑えるために直ちに削減を実行するのか、大幅削減を先送りするのか」にあるとし、長期目標とともに中期目標を定めて実行に移すことが重要だとした上で、日本が先進国として具体的削減の実践と途上国への先進技術や資金等の援助などの役割を果 たすことが必要と指摘しました。 又、「世界的食料危機と自給率向上・食糧主権確立の意義」と題して講演した全国食健連の坂口正明事務局長は、すすむ世界の穀物高騰や食料危機とその要因や地球温暖化の食料生産への影響に触れつつ、「輸入に依存する日本の食のあり方が、食料の安全・安定供給を脅かすだけでなく地球温暖化対策に逆行する」と指摘し、食料自給率向上と食糧主権確立の運動が必要だと訴えました。 パネラーとして出席した、コンシューマーズ京都(京都消団連)の原理事長は、地球温暖化は、2℃で止めなかったら破局的危機を迎えるとして、国内対策の中長期的目標設定と低炭素社会にむかってのビジョンの共有、食糧主権が必要と訴え、京丹後市五箇営農組合の安田受託部副部会長は、水より安い米価や水稲生産の時間給の実態等を紹介し、日本の農家は絶滅危惧種だと日本の農政を痛烈に批判しつつ、ものつくりを続けて行くことが国民の食料につながり、自分たちにできることと食料を生産することへの誇りと決意を語りました。 会場からも、海(港)の規制緩和、農業への大企業の参入への意見や地産地消・体験交流等の経験報告があり、最後に、地球温暖化問題を天動説(ブッシュ・福田)から地動説(EU)に変え、農林水産行政も農業を守る地動説に変えて行くことが重要だとの訴えがあり閉会となりました。(K・I) 国民本位の行政をめざす農林・京都の会 第25号より |
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| 食料自給率引き上げを主眼に、農産物価格支持を基本にした農政に! 国際交流センターにおいて、食糧・農業問題シンポジウム(同実行委員会主催)が開催されました。 WTO体制は食糧需給ひっ迫・価格高騰には対応できない! まず、「食糧政策のあり方を問う」と題して、愛媛大学の村田武特命教授が基調講演を行い、「世界の農業・食糧問題は、過剰と価格低迷から需給ひっ迫・価格高騰へ変わった。大きく言って戦後二回目の食糧危機がおとずれている。世界の穀物需給は七三年よりもっと深刻な穀物在庫水準になっているが、七三年と確実に違う点がある。一つは、新しい需要、巨大国(中国・インド)が商業輸入できるようになったこと、もう一つが気候変動・地球温暖化による気象災害が広がっていること、もう一つはマネー経済である。実物経済に必要な金の何倍もの金が、利益を求めて世界をさまよっている。WTO自由貿易体制のもとで、世界的な株価暴落により国際投機資本が農産物市場に流入し、需給ひっ迫による価格上昇を大きく超える価格高騰、原油価格高騰が農業生産コストを引き上げる一方、代替バイオ燃料材料として穀物需要増大による価格高騰を招いている。経済産業省事務次官でさえ『マネー経済・ウォールストリート資本主義の悪い面 が出ている』と言わざるを得ない状況である。WTO自由貿易主義は農産物過剰を前提にした体制であり、今日のような需給ひっ迫・価格高騰には対処できない。今月初めローマで国連食糧サミットが開かれたが、穀物価格高騰沈静化への道筋を示せず、バイオ燃料や農産物輸出規制は玉 虫色決着となった。アメリカもEUも国内農業強化に向けて動いている。アメリカとEU以外の日本を除くWTO加盟国は、WTOの農産物自由貿易主義はアメリカとEUが押しつけたもので、両国が国内農業保護を強化するダブルスタンダードを見抜いている。WTO農業協定を過大遵守する日本は世界の物笑いになっている。 農政改革の方向が政権の行方にとっての争点に! 現在の穀物・農産物価格は当面(少なくとも一〇年位は)元に戻ることはないと言われている。 こうしたもとで、わが国の農業・食糧政策のあり方が問われているわけである。一九年産米の状況は、日本農業の根幹である稲作へのセーフティネットなしでは日本農業に展望がないことがハッキリした。今や農政改革の方向が政権の行方にとって争点になってきている。政府・与党は農業構造改革をめざし、助成を担い手経営に集中する「品目横断的経営安定対策」を実施したが、生産者等からの反発・批判が強く見直しを余儀なくされた。一九年産米価格の暴落に緊急買い入れを実施した。また、一九年食料・農業・農村白書で強調した『担い手への施策の集中化・重点化』から、二〇年白書では『小規模農家や高齢農家を含む多様な農業経営の発展』を強調する等の変化があらわれている。しかし、構造改革農政を転換して危機に瀕する農業への緊急支援とセーフティネットを構築することは眼中にない。民主党は、食料の完全自給をめざす「農業者個別 所得補償法案」を国会に提出した。共産党も、生産コストをカバーする価格保障を基本とする「農業再生プラン」を発表した。 いま求められるのは、食料自給率引き上げを主眼にした農政! わが国の農政にいま緊急に求められるのは、国内農業生産を立て直し、疲弊した農村の活性化に全力をあげることである。中長期の国際食料需給のひっ迫が始まっている現在、食料安全保障を確立する農政の基本は、FTA(二国間自由貿易協定)締結による安定的輸入の確保ではなく、国内農業生産の回復である。輸入拡大と農産物価格下落のもとで深刻化した農業危機に機敏に対処し、経営危機に陥った生産者に対する価格支持政策によるセーフティネットを張ることである。その際重要なことは、米の価格支持と稲作収益に偏った政策ではなく、作目間の価格・収益性にバランスのとれた農業生産構造の本格的な転換を推進する政策が求められることである。」等と、力強く訴えられました。 その後、立命館大学・渡辺信夫氏をコーディネーターに、村田教授も加わって「コメと食料政策を問う」と題した生産・流通 ・消費の立場からパネルデスカッションが行われました。生産者の立場から京都府京丹後市・五箇営農組合農作業受託部会の安田政教氏、農協の立場から全農元専務の岡阿弥靖正氏、流通 業界の立場から津田物産叶齧ア取締役の奥本光則氏、消費者の立場からおおさかパルコープ理事の谷美代子氏の四人のパネラーから報告がありました。 「安い物は輸入すれば良い」時代は終わった。日本の経済・政治の仕組みを転換する時! そして、会場参加者も交えたディスカッションの後、渡辺氏が「村田先生は戦後の食料危機と今日の食料危機は性格が違うと指摘された。FAOも今日の石油高騰も食料高騰・食料危機も今後一〇年間は続くと指摘している。そうしたもとでどのような食料自給の仕組みを作っていくのかが問われている。今日の時代状況は一六世紀の天動説から地動説への転換と同じくらい、コペルニクス的転換の時代にきている。 食料・農業政策で言えば、『安い農産物は外国に依存して輸入する。そして工業製品を輸出する』という新自由主義の論理で徹底して進めてきた結果 が穀物自給率二七%・食料自給率三九%である。これが天動説である。『安い物は輸入すれば良い』という時代は終わった。農産物の価格支持政策、生産費の補てん・最低所得保障制度を確立し、国土・人等すべての資源を活用して食料自給率を向上させる、これが地動説である。日本の経済の仕組み、政治の仕組みを転換する時にきている。そして、われわれの食生活も転換するとき、コペルニクス的にスローフードの食卓に転換する時ではなかろうか。」とまとめて、シンポジウムを終了しました。 国民本位の行政をめざす農林・京都の会 第24号より |
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| 世界の穀物価格高騰・食料危機に、どうする政府・農水省 価格保障・所得補償を充実し、食料自給率の向上に本腰を! 食料輸出国の輸出規制の制限を求めるのではなく、 各国の「食料主権」を尊重する貿易ルールの確立を 農水省「農業白書」を発表ー自給率向上は言葉だけ? 農水省は五月一六日、一九年度の「農業白書」(食料・農業・農村の動向)を発表しました。「白書」は、今日の世界的な穀物・大豆価格の高騰と需給がひっ迫しているもとで、わが国の食料自給率が三九%と先進国で最低水準になっている。食料の六割を輸入に依存しているわが国は、国内の農地の二・七倍に相当する農地を海外に依存し、輸入農産物の生産に国内農業用水使用量 を超える海外の水が必要。と、日本の現状に危機感を示しています。そして、食料自給率の向上と食料の安定供給が必要と述べています。しかし、食料自給率向上の方策はと言えば、 @コメの消費拡大(米粉利用推進を含む。)、 A飼料自給率の向上、 B油脂類の過剰摂取の抑制等、 C加工・業務用野菜の生産拡大、 D食育の推進、 E国民運動を展開するための戦略的広報の推進、 というもので、本腰を入れて食料自給率の飛躍的な向上に取り組む姿勢は感じられません。 世界の穀物在庫量は深刻な食糧危機の水準! 農水省の「食料の未来を描く戦略会議」資料によれば、世界の穀物在庫はFAO(国連食糧農業機関)が示す安全在庫水準(一七〜一八%)を割り込み(二〇〇七年予測値一四・九%)、七〇年代前半の世界的食料危機と同じ深刻な水準になると見込まれています。中国やインドなどの経済発展や世界的な人口の増加、所得向上による食生活の変化等による食料需要の増加およびバイオ燃料原料向け需要の増加は、今後も続くとみられます。一方供給は、地球温暖化や開発に伴う農地の砂漠化の進行や地下水の減少・枯渇、異常気象の発生、家畜伝染病の発生等により、生産の不安定化が懸念されており、中長期的に需要の増加に追いつかない可能性があります。このように、今日の状況は一過性のものではなく構造的な原因によるものです。加えて、穀物市場への投機マネーの流入により、世界的に穀物価格、食料価格が急騰しています。最近三年間で、穀物の国際市場価格は、小麦が三・三倍、大豆・トウモロコシが二・五倍に高騰しました。食料の中でも特に国際流通 量の少ないコメは、わずかな要因でも価格が激しく変動し、この三ヶ月に二倍になりました。 このため、ロシアや中国など一一カ国が農産物の輸出規制(二〇年四月現在)に踏み切り、多くの発展途上国では深刻な食料不足からデモや暴動もおこっています。 国際機関が次々と警告や懸念を表明 WFP(世界食糧計画)は三〇カ国で食糧危機となり、うち二三カ国が深刻な情勢にあると警告し、FAOは世界の指導者が貧困層のために食料価格逓減のため大胆な措置をとらなければ、発展途上国で食料暴動が起こるだろうと警告しています。また、国連人権理事会は五月二二日に特別 会合を開き、現在の食糧危機に「重大な懸念」を表明する決議を採択しました。 ミニマムアクセス米は「義務輸入」ではない! 政府は四月三〇日のWTO(世界貿易機関)農業交渉の全体会合で、食料輸入国の食料安全保障を理由に、食料の輸出規制に対する規律の強化を提案したといわれていますが、自国の国民を飢えさせても「食料輸出」に責任をもてというのは無理があるでしょう。あたかもWTO協定上の「義務」であるかのように言っているミニマムアクセス米(二〇〇七年一〇末現在在庫一五二万トン、二〇〇七年度輸入計画七七万トン(年間消費量 の八・四%)の輸入も止めるべきです。自給率向上に本腰を入れることが本筋でしょう。アメリカはわが国に農産物の輸入自由化を迫ってきましたが、ブッシュ大統領は自国の農民の前では、「食料を自給できない国を想像できるか。それは国際圧力と危険にさらされている国だ。」と強調しています。今や世界の食料をめぐる流れは、各国が、食料を輸出のためではなく、自国民のための生産を優先し、輸入規制や価格保障などの食料・農業政策を自主的に決定する権利=「食料主権」を尊重する貿易ルールの確立をめざす流れが大きくなっています。 「食料は自国で作る」が国民の多数派 二〇〇六年一一月の世論調査(内閣府)では、七割の人が食料自給率四〇%(当時)は「低い」、将来の食料供給について七七%の人が「不安」と答え、八七%が「食料国内で作る」ことを求め、「安ければ輸入」は八%にすぎません。食料自給率向上に本腰を入れ、農産物の価格保障や所得補償を充実し、真に担い手を増やす施策など、農業者が経営を続けられる対策を強化するとともに、食料主権の立場にたった貿易ルールの確立、WTO協定の見直しと、必要な国境措置をとる等、農政の転換をはかることが急務になっています。今ならまだ間に合います。 |
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| 食をめぐる問題について | ||||
| 食の安全、自給率の向上 政治の転換で農村の未来を 食をめぐる問題がテレビ、新聞で報道されない日がないほど取り上げられている。大きくは、中国製冷凍餃子の中毒事件、不二家、ミートホープ をはじめ、賞味期限や中身の偽装事件、さらに、小麦など食料品価格の相次ぐ値上げである。一つ一つ大きな 問題をはらんでいるが、このことによって日本が右往左往する背景には、世界と比較してもあまりに低すぎる食料自給率の問題がある。1960年代、かつて80%あった自給率はいま39%である。アフリカで飢餓にあえぐ国々よりも自給率が低いのは驚きというほかない。人口わずか2%の日本が、世界の食糧貿易量 の10%を買いあさっている。買い食い日本の姿が浮き彫りになっている。 これだけ大量に食料の輸入に頼りながら、その安全検査態勢はお粗末きわまりないものである。輸入総量 のなかで検査率はわずか10%程度しかない。そのうち国が行っている行政検査といわれるものは3.5%しかないのである。これでは、年々増え続ける輸入食料の安全確保は困難である。しかも、加工食品についてはこれまで検査の対象外とされてきた。農民連食品分析センターが2002年、中国の冷凍ほうれん草から基準値をはるかに超える残留農薬を検出し、厚生労働省に対し冷凍加工食品の安全検査を迫った。その際、厚労省は「冷凍食品は検査の対象外である」として私たちの要求を拒否したのである。その後マスコミの報道や国民世論の広がりの中で厚労省も検査を実施。次々と違反の事実が明らかとなり、一時、中国野菜の輸入がストップする事態となった のである。国民世論に押され、政府は、ポジティブリスト制度の実施、加工食品への原産地表示拡大などを実施してきたが、増え続ける輸入食料の安全を確 保するためには、水際での安全検査態勢を抜本的に強化することが求められて いる。 国は「食料・農業・農村基本計画」を策定し、当面自給率を45%まで引き上げるとしている。しかし、本気で農水省がこれを実現する気がないことは、ほとんどの農家が知っている。昨年秋、米価は大暴落した。私たちは国が備蓄米を安値で放出、米大手卸や大手流通 資本 による買いたたきを野放しにする。国民が望まない外米を大量に輸入し、外食産業に低価格米を供給する。農協の農家への概算払いは60kg11000円〜12000円。政府統計でも米60kgの 生産費は16824円である。これで実現できる農家の収入は時給にして256円である。最賃の3分の1である。しかし、実際は米を1袋(30kg)出荷するたびに千円札2枚貼って出しているのである。 昨年秋以降、借りていた田を返す農家が増えた。「赤字を出してまで米作りを続けるわけにはいかない」からである。返され作り手のなくなった田んぼは 荒れるしかない。農業経営の柱である米価暴落の打撃は想像以上に大きい。 こうした、農家の現実などお構いなしに、農水省はすでに破綻が明らかな「品目横断的経営安定対策」(不評につき農水省はその後名前を変更した)にしがみつき、はげ落ちた白粉を塗り直して農家の前に再度持ち出している。先日の府議会でも明らかになっているとおり、農水省のつぎはぎによっても5%程度の制度参加者が倍に増える程度で、我々が指摘したとおり、圧倒的農民を切り捨てる政策の本質は何も変わらないのである。 財界の要請に応えて、「非効率的」な農業が他産業の足を引っ張らないようにしようという今の農政の基本が根本的に転換されることが必要である。食料の確保、安全の確保に対する国民の不安に応える政策は今の政治の延長線上には存在しない。農村、農業をよみがえらせ、食料自給率の向上を図るには、思い切った価格対策が必要である。農家の生産意欲を刺激する価格補償対策と、 条件不利地も含め農家への直接支払いなどの所得対策によって、農業で暮らしが成り立つようにすることが、食料自給率向上の最大の保障である。 農民組合京都府連合会 |
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家族経営と国内生産を発展させ、食料自給率を向上させる農政に転換を! 農林・京都の会 代表世話人あいさつ〔要旨〕 年明けから、「ギョウザ」などの中国産食品の問題が発生しました。その影響から、中国野菜の輸入量 が大幅に減少していると報じられています。安心・安全な食品への消費者の防衛の現れです。 いま政府は「食品の未来を描く戦略会議」なるものを開き、「食品の未来を確かなものとするため、関係者の夫々の課題に取り組むことが必要」として、食料をめぐる世界情勢に変化の兆しが見られることを、国民共有の認識にすることが必要だとしています。 変化とは、世界的な食料不足が顕在化し、世界の穀物在庫は最低水準にあり、価格は急上昇してきている。いつでも、どこからでも買ってこられる時代は終わっている。日本の食料自給率は三九%。さすがに福田首相も予算委員会で「食料は海外でいくらでも買えるという考えは危険」と言わざるを得ないところまできています。 しかし、それならば国内農業を振興する方向に政策を変えるのかというとそうではない。自公の農政は農産物の輸入拡大をしていく。「農産物輸入自由化は当然であり、それに対応した農業構造に改革せよ」との財界の要請にそっています。 その中心的政策「品目横断対策」の結果、麦や大豆の作付面積は減少、交付金対象となった農家も所得減少となり、生産意欲を失わせ耕作放棄地は増加しています。 一部手直しだけで「品目横断対策」を続けようと言うのでは自給率の向上は望めません。 農産物の価格が再生産できる水準に保障されるされることが大前提でなければなりません。即ち、農業を国の基幹産業に位 置づけて、適切な国境措置と価格保障を柱に、家族経営と国内生産を発展させ、食糧自給率を向上させる農政に転換する政策が求められています。 そうした運動が大きく発展するよう、この「会」が寄与できればと思っています。平和と暮らしを守る運動の前進のため、力をあわせて頑張りましょう。 |
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